(※本記事は2011年11月6日に執筆したものに、加筆、訂正を行ったものです)
訳あって、親知らずを抜いてもらった。
2泊3日で、3本も。
訳、というのは、物を噛む用をなしていない上、虫歯がかなり進行しており、周りの健康な歯に悪影響があるため。
さらに私の場合、上顎洞(じょうがくどう)…上の顎骨のさらに上にある空洞…が広いらしく、下手に抜くと口と鼻がつながってしまう恐れ(「交通する」と言うらしい)があるとかで、町医者に紹介状を書いてもらい、大きな病院へ行くことになった。
その病院で知ったのが、入院抜歯という方法だった。
1本ずつ外来で抜く場合、負担は軽い反面、全部抜くとなるとそれなりの期間が必要で、なにより4回も抜歯を行う(痛い目にあう)ことになる。
入院して抜けば、負担は大きいが、抜歯は1回で済む。といっても、1回にかかる時間も苦痛も4倍だけど。
それに、入院の場合は抜歯前後のケアもついてくる。人によっては煩わしいかもしれないが、抜歯前の体調チェック、鎮痛剤の事前投与、抜歯後の抗生物質の投与に加え、入院中は食事や体調の管理もしてくれるので、安心である。
おまけに、そんなに痛くない。これは不思議で、親知らずを抜いた経験のある人に話を聞いたら、みな口をそろえて「痛かった」と返してきたのだが、実際、全くと言っていいほど痛みはなかった。どちらかと言えば、2時間以上も口を開けっ放しにしていたことの方が苦痛だった。
抜歯は、外来で行った。手術室ではない。おなじみのあの治療台が1つだけ設置された個室があり、そこで行ったのだ。室内にはBGMとしてピアノ曲が流れていた。
左手には点滴とパルスオキシメーター(爪の色で血中酸素濃度をチェックする、洗濯バサミみたいな小さな装置)、右手には血圧計(5分に1回作動)、両鎖骨の下と左わき腹に心電図や脈拍をモニタするコードをくっつけられ、抜歯開始。
局部麻酔を施し(実際、これの方が抜歯より痛かった)、必要に応じて歯を削りながら、1本、また1本と、抜歯してゆく。
ミシミシという耳障りな断末魔を上げながら抜けた歯は、写真や模型でみるような立派な歯根がついており、「ああ、抜いちゃったんだな」という実感を与えてくれた。
「いりますか?」と言われたが、虫歯菌に侵されたそれを記念にとっておく気にはなれず、処分してもらった。
抜歯後、1時間ほどガーゼを噛み続けて止血。その後、遅い昼食。といっても、通常食ではなく、粥と、細かく刻まれたおかず。教えてくれなければそれが何なのかわからないほど、原型をとどめていないおかずである。退院する次の日の朝まで、こんな食事が続いた。
そしてその朝食後、医師による診察で退院許可が下りた。
ちなみに、親知らずは医学用語では「智歯」というらしい。病名の欄にそう書かれていた。
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