2022/09/12

光を勧める人々

(※本記事は2013年6月2日に執筆したものに、加筆、訂正を行ったものです)


外付けのハードディスクが壊れたのである。

使わなくなったデスクトップPCのハードディスクを再利用しようと、USB3.0接続に変換できるケースに収め、ノートPCにつないで使用していたのだが、突然、どこかで聞いたあの「カタン、カタン」といういやな音がしだして、ついにはアクセス不能となってしまった。

で。

近くにある家電量販店に行き、PCパーツコーナーのガラスケースに陳列されたハードディスクから目当てのものを選びだした。

さて、ケースには鍵がかかっている。取り出すには店員を呼ばなければならない。

この家電量販店、店舗によってハードディスクの陳列方法が異なり、ある店舗では戸が外されていて客が自由に取り出せるようになっているし、また別の店舗ではケースにさえ入れられずワゴンに乗せられていたりする。

店員を呼ぶと、

「只今、ご用意しますので、あちらでお待ちください。ご案内します。」

と言われた。普段は鍵を開けて、目当ての商品を取り出してくれるのだが。

そして、案内されたのが、レジではなく、各種契約を行うカウンター。はて?

席に着くと、

「アンケートにお答えください」

と、A4大の用紙とボールペンを残して、どこかへ消えてしまった。

仕方ないので、アンケートに記入する私。

おやおや…。

アンケートという形式をとってはいるが、これは客に商品を紹介するための道具。最近よくあるやつである。

「○○の導入を検討されていますか?」

この「○○」には、商品名が書かれている。これも最近よく耳にする商品である。

その中に、現在使用しているインターネット回線に関する質問(もはやアンケートではない)もあり、私は正直に「ケーブルTV」にチェックした。そうしたらこの店員、商品を持って戻ってくるなり、すかさず、最近TVCMでうるさいほど見聞きする「光」の導入を勧めてきた。

私は、この「光」の勧誘に辟易(へきえき)している。この店員にも説明したが、この光プロバイダー各社の営業が入れ替わり立ち替わり自宅にやってきては「光」の導入を勧めてくるのが、春先の風物詩となっているのだ。

もちろん、そのたびにただ断ってるわけではない。ちゃんと見積もりも取らせている。それで判ったことだが、今利用しているケーブルTVと料金はほとんど変わらないのである。少なくともうちの場合では、TVCMで言っているほど安くはならない。そのためにいちいち工事に立ち会うなんて考えられない。

「光の方が速いですよ」とささやくが、実際、そんな回線速度は全く必要ない。こんなところに引き合いに出して申し訳ないが、例えばYouTubeなんか100Mbpsもなくたって快適に視聴できるのである。うちの家庭に100Mbpsなんて必要ないのである。いわんやギガビットをや。そんなものは家庭内LANで十分である。世界とギガビットでつながって何が楽しいんだよ(※)。しかし営業マンたちは、とにかく「速いですよ」を連呼するのである。

営業というのは、技術的なことに関しては疎いようで、そういった質問を投げかけると、適当なことを返してくるので面白い。

「でも、おたくって、回線が安定しないじゃないですか」

などと、体験したことなどないはずのでまかせを言ってみると、

「そうですね」

だって。おいおい、TVCMで言ってること否定しちゃっていいのか、なんて、他人事(ひとごと)ながら心配しちゃったり。

「テレビだけをケーブルにして、ネットを光にする方も多いです」

日本人が弱い「他の方もそうされてますよ」作戦である。しかし、これは一般論。ケーブルテレビには「専門チャンネル」という、視聴者の好みに合わせた番組を提供するというサービス(もちろん有料)があり、そうそう簡単に割り切れるものではないのである。

そうしたら次の年、その光プロバイダがテレビ放送を提供するサービスを始め、それを武器に別の営業がうちへ乗り込んできた。NHKと民放が見られるんですよと、得意げだ。しかし、専門チャンネルについて突っ込んでみると、

「そういった番組は、順次対応していく予定です」

つまり、それまで我慢しろってことかしら? ありえないよね。というか、同じ番組を提供してくれる保証は?

もう、なんというか、うん、そんな感じ。

表立って言えないような利害関係があるのかどうか知らないけれど(いや、知ってるけどね)、もういい加減、顧客の立場を無視したビジネスはやめていただきたい、そう思うのである。というか、もう来ないでほしい。必要になったらこっちから呼ぶから。


あ、そうそう。買ってきたハードディスクは元気よく動作している。


※:現在は世界とギガビットでつながっている。楽しい。


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