2022/09/08

水をくれ

 (※本記事は2011年7月21日に執筆したものに加筆、訂正を行ったものです)


この日、「リトル・インディア」(Little India)をぶらついていた私は、なぜか「ビシャン・パーク」(Bishan Park)へ行こうと思い立ち、MRTに乗って「アン・モ・キオ」(Ang Mo Kio)というちょっと変わった名前の街へ行った。

アン・モ・キオ・グローブの入り口に鎮座するマーライオン
アン・モ・キオ・グローブの入り口に鎮座するマーライオン

この公園は、カラン川の上流にある。河口近くにあるのが、先の「カラン・リバーサイド・パーク」である。カラン川は、シンガポールの中央にある貯水池を水源とする、シンガポールで一番長い川である。

駅から南へ10分ほど歩くと、ビシャン・パークに到着。ここから水源に向かって西へ歩いた。

公園の案内板
かつてアン・モ・キオ・アベニュー6にあった、公園までの案内


ビシャン・アン・モ・キオ・パーク
ビシャン・アン・モ・キオ・パーク

日本の公園とは違い、ヤシの木などが目立つ。それにも増して目立つのが、ムクドリである。シンガポールに滞在して強く感じたことの一つに、このムクドリの多さがある。公園あるところにムクドリあり、といった感じで、ビシャン・パークもあのやかましい鳴き声でにぎわっていた。おまけに、近づいても逃げない。シンガプーラ(猫)といい、なんでシンガポールの野生は逃げないんだ。

公園の中ほどへ入ると、なぜか白いブリキの壁が行く手を遮っていた。東西にずっと伸びるその壁と並行するように西へ歩いて行くと、その理由の書かれた看板に出会った。

白いブリキの壁に掲示された案内
ただいま造成中

「躍動的で美しい清流計画」(直訳)と書かれたその看板。国家プロジェクトの一環として、川岸に遊歩道を造成しているらしかった。

そういえば、シンガポールは水資源に乏しい国だ。隣国マレーシアの「ジョホール・バル」から引き込んでいる上水が、国民の生活を支えている。両国をつなぐ「コーズウェイ」という橋の横を並走する上水道管が失われると、シンガポールは干上がってしまうのである。ヨーロッパでいうガス管と同じである。そのため、最近は「ニューウォーター」(NEWater) - 下水から不純物や雑菌を取り除いて作られる飲料水 - を精製するプラントを次々と建設し、国内自給率の向上を目指すという国家プロジェクトも遂行中である。

なんの話だっけ。

その先を歩いて行くと、ヤシの木で囲まれた、ハスだらけの池に出た。

ヤシに囲まれた蓮池
ヤシに囲まれた蓮池

見慣れない景色に、しばらくの間見とれてしまった。何か惹きつけるものがあるこの池。ほとりの東屋(あずまや)にも地元の人が屯(たむろ)していた。

そろそろ喉が渇いてきたな、と思い、周りを見渡したが、何もない。ここは日本ではない。公園の中に都合よく自動販売機があるはずもなく、売店を探すことに決めた。

しかし、歩けども歩けども、売店はない。ここは自然保護区にほど近い公園である。住宅地はあるが、売店は見つからなかった。

身の危険を感じた。そう、熱中症。

水を手に入れるためには歩かなくてはならないが、なんとなく足元がおぼつかない。危ない。

日陰を選びながら公園の反対側へ渡り、住宅街へ。すると、その高層住宅の一階に売店が。

値段も確認せず、冷蔵庫で冷やされたペットボトル入りの水を手にし、売店のおばさんに「これ」と差し出した。

本当に、水は大事なのである。

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